結構な腕前で!
「あなたも、変にせとみ様にちょっかいかけないことね。それではご機嫌よう」
おほほほほ、と高笑いしながら、由梨花が去っていく。
何だったんだろう、とその後ろ姿を見送ってから、ふと視線を滑らせると、ハンカチで鼻と口を押さえたせとかと目が合った。
「凄いですね」
萌実が言うと、せとかは十分間を開けてから少し首を傾げる。
「そうでしょうか。まぁ華道の家元と一緒になるってのは、いいことかもしれませんが」
「真行寺先輩は、茶道と華道は仲が悪いって言うのに、せとみ先輩を好いてるんですか?」
「仲が悪いとか思ってるのは彼女だけですよ。実際そんなことはありません。彼女の場合、裏の活動の第一線を我々茶道部に持っていかれたという気持ちがあるのでしょう」
「だって一人だったら、とてもあの山全体なんて相手してられませんよ。女性なんだし。それでも部の拠点は山が良かったんですか?」
納得できずに聞くと、せとかは、ふふ、と笑った。
「それはまさか一人だとは思わなかった故ですよ。言ったでしょう、華道部は何から何まで一流品。部活でそんなものを扱えるだなんて、何も知らない新入生にとっては魅力的ではないですか? 着物も着れますし、三年もやれば着付けもできるようになるでしょう。茶道より実生活で役に立ちますしメリットもある。当然わんさと新入部員を見込んでいたわけです」
「けどそれを、茶道部に持っていかれた、と」
「まぁ南野さんがうちに来たのは、ほんの偶然ですけどね」
いえ、偶然ではなく運命です、と心の中で付け足し、萌実はなるほど、と頷いた。
が、首を傾げる。
「それとせとみ先輩が、どう関係するんです?」
おほほほほ、と高笑いしながら、由梨花が去っていく。
何だったんだろう、とその後ろ姿を見送ってから、ふと視線を滑らせると、ハンカチで鼻と口を押さえたせとかと目が合った。
「凄いですね」
萌実が言うと、せとかは十分間を開けてから少し首を傾げる。
「そうでしょうか。まぁ華道の家元と一緒になるってのは、いいことかもしれませんが」
「真行寺先輩は、茶道と華道は仲が悪いって言うのに、せとみ先輩を好いてるんですか?」
「仲が悪いとか思ってるのは彼女だけですよ。実際そんなことはありません。彼女の場合、裏の活動の第一線を我々茶道部に持っていかれたという気持ちがあるのでしょう」
「だって一人だったら、とてもあの山全体なんて相手してられませんよ。女性なんだし。それでも部の拠点は山が良かったんですか?」
納得できずに聞くと、せとかは、ふふ、と笑った。
「それはまさか一人だとは思わなかった故ですよ。言ったでしょう、華道部は何から何まで一流品。部活でそんなものを扱えるだなんて、何も知らない新入生にとっては魅力的ではないですか? 着物も着れますし、三年もやれば着付けもできるようになるでしょう。茶道より実生活で役に立ちますしメリットもある。当然わんさと新入部員を見込んでいたわけです」
「けどそれを、茶道部に持っていかれた、と」
「まぁ南野さんがうちに来たのは、ほんの偶然ですけどね」
いえ、偶然ではなく運命です、と心の中で付け足し、萌実はなるほど、と頷いた。
が、首を傾げる。
「それとせとみ先輩が、どう関係するんです?」