結構な腕前で!
「さぁ。まぁこういう裏活動をやってる以上、好むと好まざるを問わず関わり合いはできますからね。去年彼女が華道部を立ち上げてから、初めは部員が入っては辞め、入っては辞めで、とうとう今の状態に。そのときにうちに乗り込んできたわけです」

 去年の話で、せとからも一年だった頃の話だ。

「で、まぁ当時は僕ら兄弟と、はるかたち姉妹。似たような状況じゃないですか。身内で成り立ってるわけで」

「はぁ、まぁそうですかね」

「それで一応彼女は溜飲を下げたようです。その時に、ちょっと魔についてお互い話し合いをしましてね。道場解放の日だったんで、せとみが張り切るじゃないですか。それを見て、心奪われたようですね」

 変なの、と口をついて出そうになったが、生唾と一緒に呑み込んだ。

「せとみは何で、想うほうも想われるほうも、まともじゃないんでしょう」

 せとかが、はあぁ、と特大のため息をつく。
 えーと、と萌実はまた首を傾げた。

 イトコであるはるかはともかく、由梨花はまともな相手ではないだろうか。
 いや、あれをまともと言っていいのか、と考えれば疑問が残るが。

「でも真行寺先輩だったら、玉の輿ですよ。趣味も合いそうだし、美人だし」

 性格はともかく、というのは、やはり心の中に留めておく。
 そもそも萌実はまだそんなに由梨花のことを知っているわけではない。

「せとみ先輩のプライドの問題ですか?」

 この前ちらりと思ったことを言ってみる。
 が、せとかは妙な顔で萌実を見た。

「せとみのプライド?」

「や、だってあんな凄いお嬢様、傍にいたらこっちが卑屈になってしまいそうですし。財力が凄い女性って、男の人からしたら屈辱なんじゃないかなぁ、と」
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