結構な腕前で!
 せとみは話題に加わりたくないらしく、知らぬ間に姿を消している。

「何でせとみ先輩は、真行寺先輩を避けるんですかね」

 性格はともかく、見かけも家も申し分なかろうに。

「せとみ先輩の性格なら、ほいほいと誘いに乗りそうですけど」

 何気に相当失礼なことを萌実が言うと、せとかは、ぷ、と吹き出した。

「なかなか手厳しい。せとみは軽いというよりお子様なんです。軽くからかうぐらいのことは誰にでもできますけど、向こうから来られると引いてしまうんですよ」

「ふ~ん。何だか損ですね」

「まぁ来方が異常、とも言えますしね」

 人のことを手厳しい、というわりに、せとかもなかなか容赦ない。

「イトコと華道家。何でこうも究極な人しか寄ってこないんでしょうね」

 はぁ、とせとかがため息をつく。
 はるかは寄ってきていないのだが。
 しかも究極だ、と思うのはせとかであって、せとみにとっては濃ゆいかもしれないが究極ではないのでは。

「ったく、ちょっと席を外したら、人の悪口言うってどうなんだよ」

 いきなりしぱん、と障子が開き、着物に着替えたせとみが現れた。
 着替えに行っていたらしい。

「土門はどうしたよ。一年坊主のくせに、さぼりか?」

「一年のときからさぼってたあなたに言う権利はありませんが」

 さらっと言い、せとかはちらりと道場のほうを見た。

「道場もおととい処理してますし、テスト前ですし毎日でなくていいでしょう。ということで、本日は彼もお休みです」

「はぁっ? こちとら勉強時間を削って魔と戦ってるんだ。テストぐらい学校側が配慮しろってんだ。大体魔関係の部長は俺だぞ。部長が許さん」

「はるかたちも、この時期は普通に休みじゃないですか。私情を交えた依怙贔屓は駄目ですよ。他の部はちゃんと休みになってる時期なんですからね。彼はスポーツ推薦ですからね、勉強のほうは、あまり余裕かませないようですよ」
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