結構な腕前で!
「それは……」

 なかなか凄い。
 初対面からあの調子でぐいぐい来たということだろうか。

「ていうか、向こうは僕らのこと知ってたんですよね」

 参考書に目を落としていたせとかが、ぼそりと口を挟む。
 え、と萌実はそっちのほうに反応した。

「多分、裏流派関係で知ったのだと」

「あ、そういうことですか」

 萌実のように中学の頃から目を付けていたわけではないのか。

「裏流派って、そんなにあるんですか?」

「ないですよ。そんなにあったら、僕らも楽でいいんですけど」

「じゃ、何で?」

「少ないからこそ、すぐに身元が割れるというか。こういう力がある者というのは、ある程度同じような力ある者を見分ける力もあるものです。さらに彼女はただでさえ見抜く力が強いですからね」

「私はそんなの、わからないですよ」

「南野さんは強すぎるんです。自分が強すぎるので、僕らのような一般レベルの力はわからないんですよ」

 力がある時点で一般人ではないのだが。
 とりあえず萌実はせとかの説明に納得した。

「真行寺先輩は、せとみ先輩に一目惚れしたってことですか?」

「正確には、魔を打ち砕くせとみに、ですかね」

「あ~、何となく納得です」

 柄は悪いが、鮮やかに魔を打ち落としていくせとみは、見る人によっては格好良く映るかもしれない。
 もし自分に向かってきていた魔を一瞬で打ち払ったりしたら、女子であれば、きゅんとするのではないか?
 せとかが、ちらりと萌実を見た。
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