結構な腕前で!
「あ! いえいえ、一般論としてですよ」

 せとかに誤解されては堪らない。
 慌てて萌実は付け足した。

「魔と戦うのは、そんなに格好良いことですか?」

「いいえ」

 できればそんなことと関わりなく過ごして欲しい。
 魔に付きまとわれるような人と一緒にいたいと思う者など、普通に考えて、そういないはずだ。
 萌実だって好きで魔と関わっているわけではない。

「けど自分にそういう力があったら、どうしても相手にも求めてしまうんじゃないでしょうか。私はともかく、真行寺先輩は、昔からそういう力と共に育ってきたのでしょうし」

 萌実が言うと、せとかは少し首を傾げた。
 そして、ああ、と何か気付いたように呟き、せとみを見る。

「なるほど。せとみがはるかに執着したのも、そういう環境がことごとく当てはまったが故と思えば納得です。ふむ、やっぱり外側からの意見は一味違いますねぇ」

 うんうんと頷き、萌実ににこりと笑顔を向ける。
 わぁ、何かよくわからないけど褒められた、と萌実は嬉しくなった。
 が、その前で、せとみの眉間に皺が寄る。

「どういう意味だよ」

 じろりと言われても、せとかは涼しい顔で受け流す。

「僕らも小さい頃から魔と共に育ってきました。けど当然周りの者は、そういうものは見えない。ちょっと異端な者は孤独なものです。ずーっと一緒に育ったはるかにも、そういう力があれば理解者となり、特別な関係になりますね。で、それを恋愛感情にすり替えてしまう」

「お、俺の気持ちが勘違いっていうのか?」

「そうですよ。人の気持ちって結構すぐに勘違いするんです。大体そうでないと、イトコなんて近い家族に、そんな感情湧きませんて」

 あっさりと言い、せとかはひらひらと顔の前で手を振る。
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