結構な腕前で!
 さて放課後。
 どきどきしつつ、萌実は体育館のある棟に向かった。

 この学校は体育館が二階にあり、下に柔道場など他の部室が入っている。
 とりあえず萌実は端から順に見て行ったが、『茶道部』の文字はない。

「え、何で?」

 一番奥で唖然とする。
 確か高等部に上がった当初の見学では、この辺りのどこかだったはずだ。

「嘘でしょ。見学のときは、あったじゃん」

 何度か見学には行っている。
 そこで先輩の姿も確認しているのだ。

 困っていると、傍の部室のドアががらりと開いた。

「あれ、入部希望者?」

 やたらとガタイのいい巨漢が、萌実を見て言う。
 格好からして相撲のようだ。
 あり得ないでしょ、と思いつつ、萌実は素早く手を振った。

「いえっあの、相撲部ではなくて。部室がわからないところがあるんですけど」

「そうだろうね~。どこ?」

 はっはっは、と気を悪くするでもなく、巨漢は笑った。
 端から入部希望者などと思っていなかったようだ。
 部屋がわからない、というのも想定内だったような気もするが。

「えっと、茶道部なんです。確か見学のときは、この辺にあったと思うんですけど」

「え、茶道部?」

 ちょっと驚いたように、巨漢は萌実をまじまじと見た。
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