結構な腕前で!
「そうですね。結構せとみ先輩、大変みたいですし」
道場がぼろぼろになるほど戦っているということは、結構な乱闘だ。
一人で毎日大変だったのかも、と罪悪感に囚われていると、せとかがふるふると首を振った。
「いや、そんなことはないですよ。毎日掃除してますし、基本的に道場に集まるのは雑魚ですから、そう大変なわけはないんです。僕だって鬼じゃないですからね、一人で対応できないようなら任せませんよ」
嘘だ、結構鬼ですよ、あなた、と心の中で突っ込みながら、萌実はせとかを窺った。
「せとみが荒れているのは、さっき言ったでしょう、苛々してるからです。南野さんも気付いたでしょう? 前の、僕がせとみの気持ちを言い当てたのが気に食わないんです」
「いや、言い当てたかどうかはわかりませんけど……」
「当たってますよ。南野さんも、イトコなんかに萌えないって言ったじゃないですか」
えへん、と胸を張る。
確かに私はそうですけど、世間一般そうだとも限らないんじゃないかとも思います、と、またも萌実は心の中で突っ込んでおく。
「なので、もういっそのこと、せとみは真行寺さんに任せます」
「いいんですか? ……いろいろ」
「……う~ん……。いろいろ……ねぇ」
言ったものの、せとかも全面賛成ではないようだ。
あの性格だし、花粉は振り撒く。
「でもまぁ、彼女の気持ちが本物なら、悪い話ではないですよ」
「そうですね、玉の輿」
「いや、そんな先の話ではなく」
ばっさり斬り、せとかは岩から身体を起こして、ぽんぽんとお尻を叩いた。
「単に身近な人間からせとみの目を逸らせてくれれば、という意味です。彼女だって見てくれは悪くない。せとみだって嫌いなはずないんです」
「そうですか。まぁそうでしょうね」
道場がぼろぼろになるほど戦っているということは、結構な乱闘だ。
一人で毎日大変だったのかも、と罪悪感に囚われていると、せとかがふるふると首を振った。
「いや、そんなことはないですよ。毎日掃除してますし、基本的に道場に集まるのは雑魚ですから、そう大変なわけはないんです。僕だって鬼じゃないですからね、一人で対応できないようなら任せませんよ」
嘘だ、結構鬼ですよ、あなた、と心の中で突っ込みながら、萌実はせとかを窺った。
「せとみが荒れているのは、さっき言ったでしょう、苛々してるからです。南野さんも気付いたでしょう? 前の、僕がせとみの気持ちを言い当てたのが気に食わないんです」
「いや、言い当てたかどうかはわかりませんけど……」
「当たってますよ。南野さんも、イトコなんかに萌えないって言ったじゃないですか」
えへん、と胸を張る。
確かに私はそうですけど、世間一般そうだとも限らないんじゃないかとも思います、と、またも萌実は心の中で突っ込んでおく。
「なので、もういっそのこと、せとみは真行寺さんに任せます」
「いいんですか? ……いろいろ」
「……う~ん……。いろいろ……ねぇ」
言ったものの、せとかも全面賛成ではないようだ。
あの性格だし、花粉は振り撒く。
「でもまぁ、彼女の気持ちが本物なら、悪い話ではないですよ」
「そうですね、玉の輿」
「いや、そんな先の話ではなく」
ばっさり斬り、せとかは岩から身体を起こして、ぽんぽんとお尻を叩いた。
「単に身近な人間からせとみの目を逸らせてくれれば、という意味です。彼女だって見てくれは悪くない。せとみだって嫌いなはずないんです」
「そうですか。まぁそうでしょうね」