結構な腕前で!
「さて、では此度の不始末の説明をさせて頂きましょう」

 魔を一掃した後、道場で四人が車座になった。
 いや、車座というのは如何なものか。

 結構広い道場の壁際にせとか、せとみに萌実が座っている。
 由梨花はその正面の、真ん中よりやや反対側の壁寄り。
 普通であれば真ん中に皆集まるだろうに、茶道部一同ができる限り由梨花から距離を取っているわけだ。

「何ですの、この距離感」

 不満そうに、由梨花が言う。
 もっともな反応だ。

「仕方ないでしょう。同じ空間に存在することを許すだけでもありがたいと思ってください」

 しれっと言うせとかに、由梨花の額に青筋が立つ。
 この由梨花に上からものを言うとは。

「お黙り! そもそもあなたなんぞに許しを請うつもりはありません! わたくしに意見していいのは、せとみ様だけです!」

 そのせとみの言うことも、由梨花はあまり聞いてないような気もするのだが。

「さて今回、あなたが我々の縄張りに、土足で踏み込んできたことの原因についてですが」

 激昂する由梨花の言葉を綺麗に無視し、せとかが話を進める。
 若干言い回しに棘があるのは気のせいか。

「原因そのものは、せとみですよ」

「はぁ?」

 せとみが思い切り顔をしかめて、せとかを睨む。
 ここが道場だからか、輩具合が半端ない。

「なぁんで俺が、こんな奴を呼び寄せないといけねぇんだ」

 び、と由梨花を指して言うが、そんなせとみの言葉に被る勢いで、由梨花が身を乗り出した。

「もしかして、わたくしに会いたいがために、下界に魔を放ったというのかしら?」

「いいえ。というか、わざわざそんなことしなくても、学校でいくらでも会ってしまいますし」

 せとかが、ばっさりと由梨花の希望的観測を打ち砕く。
 容赦のない仕打ちに、違う意味でせとかには嫌われたくないな、と萌実は密かに思った。
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