結構な腕前で!
「考えてみれば、僕らが同じ時期に魔の巣窟であるこの学校に入学し、同じような部を設立したこと自体が運命ですね。それまでも魔は出ていたはずなのに、これといった被害は出ていません。僕らに触発された……と言ってもいいのではないでしょうか」

「そうね。わたくしたちに触発されたのであっても、それはその時期にそうなるという元からの運命だったのですわ。つまり、わたくしとせとみ様の出会いも運命で……」

「となるとですね、僕らがいるうちに何とかしないと、後に残される人が大変だと思うんです。一旦触発されて噴出した魔が、僕らがいなくなったことで大人しくなるとは思えませんし」

 由梨花の乙女な意見をぶった切り、せとかは真剣な表情で言う。
 せとか先輩が、この真剣なお顔で私のことを考えてくれてる! と萌実は心の中で狂喜乱舞した。

 『残される人』というのは他でもない、萌実のことだからだ。
 ……土門もいるはずなのだが、そこは萌実の脳みそから除外されている。
 こういうところは萌実も由梨花のことをとやかく言えない。

「……つまり、魔を根絶してしまおう、ということですの?」

「そうです。そもそも古戦場跡というだけで、こうも魔が湧いてちゃ日本中魔だらけになりますよ。理由はそれだけじゃないはずなんです」

 確かにせとかの言う通り、古戦場跡などいたるところにある。
 怪談的なものを聞くことはあるが、このような魔がもわもわ湧くなどという話は聞いたことがない。

「それはわたくしも思ってました。まぁ力ある者のところに引き寄せられるということもあるのでしょうけど。土地が穢れている、というのも、魔にとっては住みやすいことかもしれませんしね」

 ……住んでいるのか、この魔は。

「どこか、魔が湧き出る元があるはずですわ。それを塞げばよろしいんじゃない?」

「そうですね。でもこの二年見つけられなかったものを、そう簡単に見つけられるか」

 顎を撫でながら考えていたせとかが、ちらりと萌実を見た。
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