結構な腕前で!
「南野さん。魔がどこにいるかわかりますか?」

「えっ? ……えーとえーと」

 いきなり言われ、萌実はきょろきょろと道場内を見回した。
 今まで湧き出てきた魔を打ち払ってきた。
 湧き出る前の魔を見つけることなど、考えたこともない。

「南野さんなら、できるかと思うんですけど」

「えーと、いや、そんなの意識して見ないと、いっつも魔を見てなきゃならないじゃないですか」

 何も考えないでも魔がどこにいるか見えていたら、この学校ではいたるところに魔が見えてしまうのではないか?
 それはキツイ。

「そうか……。それもそうですね。何か魔を見る方法があれば……」

 う~む、と考え込むせとかと萌実を交互に見、由梨花は最終的に、萌実をじ~~っと見た。

「あなたがどうしてそこまでその子に肩入れするのか、やっぱりわたくしにはわかりかねるのだけど。わたくしの力をもってしても、その子に力は感じないですわ」

「ああ、それはそうかもしれませんよ。彼女の力をまともに見たら、あなたのダメージが計り知れない」

「どういう意味?」

 きろりと、由梨花がせとかを睨む。

「わたくしが見えないのは、全く力のない凡人か、逆に強すぎる化け物ですのよ」

「後者ですね」

 さらっとせとかが、萌実を化け物扱いした。
 こう表現されると、力が強いことはいいことなのだろうか、と疑問になる。

 というか、普通に考えればこのような力、ないほうがいいに決まっている。
 魔と必要以上に関わりたくなどない。

 が、萌実に限っては、そうとも言い切れない。
 この力のお陰で、憧れの先輩と、ぐんと近しくなれたのだから。

「この子が化け物並みに強いというの? せとみ様よりも?」

 広げた扇の向こうから、由梨花がじろじろと不躾な視線を送ってくる。
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