結構な腕前で!
「こういう場数を踏んでるとね、コツも掴めるよ。茶道具も使ううちに、どれが一番自分に合ってるのかわかるだろうしね。茶室だったら、もっと手軽なものがあるよ。湯をぶっかけるのが手っ取り早いし」

 元の爽やかさを取り戻したせとみが、萌実に説明する。
 言っている意味がわからない。
 まるで運動部の会話ではないか。

 自分に合う茶道具ってのも、武器としてどれがいいかっていう視点だろうが! と萌実は心の中で憤慨する。
 知れば知るほど茶道とはかけ離れている。

 だが。
 ちらりと萌実は、傍のせとかを見た。
 こちらも元の、ぼーっとした雰囲気を取り戻している。

---昨日も今日も、せとか先輩は私を守ってくれたよね---

 確か『守る』と言っていたのはせとみだったはずだが。

---やっぱり憧れの先輩の近くにはいたい!---

 しかも、せとかは彼女なし。
 自分が中学から憧れていたのはせとかのほうだ、と結論付け、萌実は握り拳を翳した。

「わかりました! 私も一刻も早く、皆さまと共に戦えるように精進します!」

「頼もしい限りです。では運動して疲れたでしょう。茶室でお茶菓子を頂きましょう」

 熱く宣言する萌実に、にこりと笑いかけ、せとかは呑気に皆を促した。
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