結構な腕前で!
ふーむ、とせとみが唸ったとき、由梨花の視線が流れた。
同時に、ぶわ、と煙が湧き起こる。
「おらぁ!」
一瞬で輩に変身したせとみが、どこからか出した扇を突き上げる。
それが、ぐさ、と煙に突き刺さった。
湧き出た魔が、せとみの頭上で動きを止める。
「せとみ様、そのまま壺に投げ飛ばしてくださいな」
由梨花の指示を聞くなり、せとみは突き上げていた腕を振り下ろした。
ぶぉん、と魔が吹っ飛び、そのままの勢いで食虫植物にぶち当たる。
あとはすでにお馴染みの惨劇。
「さすが、せとみ様ですわ! お見事でしてよ」
ぱちぱちぱち、と由梨花が手を叩く。
さすが裏部長だけあり、せとみの反応は誰より速かった。
ただ品がなくなるのだが、そこは由梨花は気にならないのだろうか。
「こういう魔が、いっつも出てるんだよな?」
「ええ。この程度が、通常運転です」
「この程度の魔を、あんたは萌実ちゃんが寝てる横で退治してきたってことだな」
「せとみ様。その子のことは何故そんな親しげに呼びますの。何ですの、その、わたくしとの違いは」
いきなり由梨花の目が三角になり、話題が横道に逸れる。
「萌実ちゃんは後輩だ」
渋い顔で言うが、もし由梨花が一年であっても『由梨花ちゃん』とは言わないだろう。
そもそも由梨花自身が、そんな軽く声をかけられる雰囲気ではない。
だが自覚がないのか、はたまた単にせとみだからか、由梨花は不満そうだ。
「それにしたって! 『あんた』と『萌実ちゃん』って、あんまりじゃないこと? わたくしはちゃんと、お名前でお呼びしているのに」
「そんなこと、俺が頼んだわけじゃないだろ」
「どうしてあっちがわたくしを名前で呼んで、せとみ様が『あんた』なんですのよ!」
きいぃっと振袖の袖を噛んで悔しがる。
わぁ、布を噛んで悔しがる、というのをリアルで初めて見た、と、萌実はまじまじ由梨花を見た。
それにしても、せとかは『あっち』呼ばわりだ。
自分が興味のない人のことは名前で呼ばないから、余計気になるのでは。
同時に、ぶわ、と煙が湧き起こる。
「おらぁ!」
一瞬で輩に変身したせとみが、どこからか出した扇を突き上げる。
それが、ぐさ、と煙に突き刺さった。
湧き出た魔が、せとみの頭上で動きを止める。
「せとみ様、そのまま壺に投げ飛ばしてくださいな」
由梨花の指示を聞くなり、せとみは突き上げていた腕を振り下ろした。
ぶぉん、と魔が吹っ飛び、そのままの勢いで食虫植物にぶち当たる。
あとはすでにお馴染みの惨劇。
「さすが、せとみ様ですわ! お見事でしてよ」
ぱちぱちぱち、と由梨花が手を叩く。
さすが裏部長だけあり、せとみの反応は誰より速かった。
ただ品がなくなるのだが、そこは由梨花は気にならないのだろうか。
「こういう魔が、いっつも出てるんだよな?」
「ええ。この程度が、通常運転です」
「この程度の魔を、あんたは萌実ちゃんが寝てる横で退治してきたってことだな」
「せとみ様。その子のことは何故そんな親しげに呼びますの。何ですの、その、わたくしとの違いは」
いきなり由梨花の目が三角になり、話題が横道に逸れる。
「萌実ちゃんは後輩だ」
渋い顔で言うが、もし由梨花が一年であっても『由梨花ちゃん』とは言わないだろう。
そもそも由梨花自身が、そんな軽く声をかけられる雰囲気ではない。
だが自覚がないのか、はたまた単にせとみだからか、由梨花は不満そうだ。
「それにしたって! 『あんた』と『萌実ちゃん』って、あんまりじゃないこと? わたくしはちゃんと、お名前でお呼びしているのに」
「そんなこと、俺が頼んだわけじゃないだろ」
「どうしてあっちがわたくしを名前で呼んで、せとみ様が『あんた』なんですのよ!」
きいぃっと振袖の袖を噛んで悔しがる。
わぁ、布を噛んで悔しがる、というのをリアルで初めて見た、と、萌実はまじまじ由梨花を見た。
それにしても、せとかは『あっち』呼ばわりだ。
自分が興味のない人のことは名前で呼ばないから、余計気になるのでは。