結構な腕前で!
「う~ん、同じ条件でも、やっぱり持って生まれたものってのがあるから、一概にそうも言えないのよ」

「持って生まれたもの?」

「そう。例えば萌実さんは苗字にも名前にも、そういう力があるってわかるでしょ。元々南野家は、そういう家系だったんじゃないかしら。対して由梨花は、華道の旧家で裏流派もあるけど、持ってる力は対魔というよりは人の能力を見抜く力よね。同じ対魔でも、それぞれ元々持ってる力の種類が違うのよ」

「うち、そんな大層な家じゃないですよ」

「それはね、多分力が強い故だと思うのよね。意識しなくても、知らないうちに魔を祓ってれば気付かないでしょ」

 なるほど、と思うが、はたして自分がそんな大層な力を操っていたのか疑問だ。
 魔というものをこの目で見たのは、この学校に入ってから。
 茶道部に入ってからだ。
 確かに今まで無意識に魔を祓っていたのであれば、そんなものには気付かないかもしれないが。

「じゃあ、何で茶道部に入った途端に、魔が見えるようになったんです?」

「土地柄でしょうね。加えて私たちと会ったことも、影響してるかも。ほら、そういう力を持った人間が集まれば、そこの空気も変わるのよ。まぁわざと土地に力を染み込ませて、魔を集めてるっていうのもあるんだけど」

「古戦場跡……」

「そう。元々魔が集まりやすい土地ではあったの。そこに私たちが力を加えて、よりたくさんおびき寄せてるっていうかね」

 はぁ、と間の抜けた相槌をし、萌実はとっぷりと暮れた空を見上げた。

「まぁでも、せとみ先輩は真行寺先輩と上手くいって欲しいですね」

「そうね。悪い案件じゃないと思うのよね。はるかよりも全然お勧め物件だわ」

 それはどうだろう。
 密かに首を傾げながら、萌実ははるみと家路を辿った。
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