結構な腕前で!
初めと同じく、但馬がささっと運転席から降りて後部座席のドアを開けてくれる。
当たり前のように由梨花が降り、続いて庶民三人が、「すみません」「ありがとうございます」と礼を言いながら降りていく。
由梨花が門に近付くと、門の横の小さな家から、老人が転がり出てきて内側から門を開けた。
「お帰りなさいませ」
頭を下げる老人の前を、由梨花はすたすたと通りすぎる。
そしてその後ろを庶民三人が、やはり「お邪魔します」「こんにちは」とぺこぺこ頭を下げつつ通りすぎた。
玄関でも使用人らしき女性数名が同じように出迎え、廊下を歩いていると、これまた幾人もの使用人が、同じように頭を下げて挨拶する。
そのたびに萌実ら庶民は、同じくらいぺこぺこと頭を下げて挨拶した。
「あ~~疲れた。何なの、この家」
やっとの思いで辿り着いた大きな部屋で、はるみがぐったりと項垂れた。
体力的な疲れではなく、気疲れだ。
「いちいち使用人にぺこぺこするからですわよ。適当にあしらっておけばよろしいのに」
「私たちはどちらかというと使用人サイドだから、そんなことできないのよ」
「何言ってますの! せとみ様が使用人なわけないでしょう!」
「せとみだって庶民よ。まぁちょっとはお上品なお家だけど」
でもお家がお上品でも、人柄は輩です、と萌実は横で密かに思った。
それにしても、華道の家元のこの家は、想像を絶する。
せとかの実家がこんなんでなくてよかった、と萌実が一人胸を撫で下ろしていると、すらりと障子が開いて、使用人の一人がお茶を運んできた。
「お嬢様。お花もお持ちしましょうか?」
「そうねぇ……。でもあなたたちは、華道をしに来たわけじゃないのよね?」
由梨花は家でも日常的に花を活けているようだ。
師範免許ぐらいはあるのかもしれない。
当たり前のように由梨花が降り、続いて庶民三人が、「すみません」「ありがとうございます」と礼を言いながら降りていく。
由梨花が門に近付くと、門の横の小さな家から、老人が転がり出てきて内側から門を開けた。
「お帰りなさいませ」
頭を下げる老人の前を、由梨花はすたすたと通りすぎる。
そしてその後ろを庶民三人が、やはり「お邪魔します」「こんにちは」とぺこぺこ頭を下げつつ通りすぎた。
玄関でも使用人らしき女性数名が同じように出迎え、廊下を歩いていると、これまた幾人もの使用人が、同じように頭を下げて挨拶する。
そのたびに萌実ら庶民は、同じくらいぺこぺこと頭を下げて挨拶した。
「あ~~疲れた。何なの、この家」
やっとの思いで辿り着いた大きな部屋で、はるみがぐったりと項垂れた。
体力的な疲れではなく、気疲れだ。
「いちいち使用人にぺこぺこするからですわよ。適当にあしらっておけばよろしいのに」
「私たちはどちらかというと使用人サイドだから、そんなことできないのよ」
「何言ってますの! せとみ様が使用人なわけないでしょう!」
「せとみだって庶民よ。まぁちょっとはお上品なお家だけど」
でもお家がお上品でも、人柄は輩です、と萌実は横で密かに思った。
それにしても、華道の家元のこの家は、想像を絶する。
せとかの実家がこんなんでなくてよかった、と萌実が一人胸を撫で下ろしていると、すらりと障子が開いて、使用人の一人がお茶を運んできた。
「お嬢様。お花もお持ちしましょうか?」
「そうねぇ……。でもあなたたちは、華道をしに来たわけじゃないのよね?」
由梨花は家でも日常的に花を活けているようだ。
師範免許ぐらいはあるのかもしれない。