結構な腕前で!
「由梨花。あんた、こういうのは嫌じゃないの?」
聞いてみると、由梨花は一瞬、はぁ? という目をした後、馬鹿にしたように上からはるみを見た。
「嫌も何も。その子が好いているのは、せとみ様の影のほうでしょう? そんな妙な趣味の子が、せとみ様に言い寄るわけがないでしょう。まぁあの片割れとせとみ様なら天と地ほどの差があるわけですから、せとみ様にぐらっと来ても、それはそれで納得ですわ。わたくしが、そんなつまらない男に心奪われるとお思いなの?」
膝立ちで胸を張り、片手を腰に当てて、おほほほ、と笑う。
「そうですか。……あんたのその性格も、そこまで行くと清々しいわ」
好いているせとみ本人を目の前にして、ここまで言い切れるのも凄い。
そのせとみは、軽く眉間に皺を刻んでそっぽを向いている。
こうもあけすけに言われると、言われたほうがいたたまれなくなるものだが、何故か由梨花の場合はそれをも通り越して、まさに清々しい。
「せとみもさぁ、羨ましいわよ? こんなに言ってくれてるのに。由梨花、面白いわよ?」
はるみは別に由梨花のことは嫌いではないのだ。
変人で高飛車だが、悪い奴ではない。
「羨ましいなら代わってやるぜ」
「馬鹿ね~。私にその気はないわ」
「わたくしにだってありませんわよっ」
きゃんきゃんと言い合っていても、萌実は全く目覚めない。
それはそれで異様だ。
「今日はそんなことを話すために来たんじゃないんだ」
珍しく、せとみが場を仕切る。
途端に由梨花が口を閉じ、きちんと姿勢を正した。
せとみの言うことは、きちんと聞くらしい。
「俺たちがこの家っつーか、この土地だな、真行寺家の敷地内に入った途端、気分が良くなったのは、やっぱりここは、守りの力が強いからなんだと思う」
「あ、そうね。私たちの家と同じような感じ。こっちのほうが遥かに強いけど」
北条家よりも橘家のほうが、守りに関しては強い。
だが真行寺家は、その橘家を遥かに上回る守りの力を感じるのだ。
しかも、山一つ分。
聞いてみると、由梨花は一瞬、はぁ? という目をした後、馬鹿にしたように上からはるみを見た。
「嫌も何も。その子が好いているのは、せとみ様の影のほうでしょう? そんな妙な趣味の子が、せとみ様に言い寄るわけがないでしょう。まぁあの片割れとせとみ様なら天と地ほどの差があるわけですから、せとみ様にぐらっと来ても、それはそれで納得ですわ。わたくしが、そんなつまらない男に心奪われるとお思いなの?」
膝立ちで胸を張り、片手を腰に当てて、おほほほ、と笑う。
「そうですか。……あんたのその性格も、そこまで行くと清々しいわ」
好いているせとみ本人を目の前にして、ここまで言い切れるのも凄い。
そのせとみは、軽く眉間に皺を刻んでそっぽを向いている。
こうもあけすけに言われると、言われたほうがいたたまれなくなるものだが、何故か由梨花の場合はそれをも通り越して、まさに清々しい。
「せとみもさぁ、羨ましいわよ? こんなに言ってくれてるのに。由梨花、面白いわよ?」
はるみは別に由梨花のことは嫌いではないのだ。
変人で高飛車だが、悪い奴ではない。
「羨ましいなら代わってやるぜ」
「馬鹿ね~。私にその気はないわ」
「わたくしにだってありませんわよっ」
きゃんきゃんと言い合っていても、萌実は全く目覚めない。
それはそれで異様だ。
「今日はそんなことを話すために来たんじゃないんだ」
珍しく、せとみが場を仕切る。
途端に由梨花が口を閉じ、きちんと姿勢を正した。
せとみの言うことは、きちんと聞くらしい。
「俺たちがこの家っつーか、この土地だな、真行寺家の敷地内に入った途端、気分が良くなったのは、やっぱりここは、守りの力が強いからなんだと思う」
「あ、そうね。私たちの家と同じような感じ。こっちのほうが遥かに強いけど」
北条家よりも橘家のほうが、守りに関しては強い。
だが真行寺家は、その橘家を遥かに上回る守りの力を感じるのだ。
しかも、山一つ分。