結構な腕前で!
「確かにな……。言われてみれば、魔は段々増えてるような気がする。昔はこんなにいなかったよな。俺たちだけで、十分対応できた」

 萌実らの学校は、本来幼稚園からのエスカレーター式だ。
 せとみたちは小さい頃からずっと魔と戦ってきたのだろう。
 それが、ここにきて茶道部と華道部だけでは手に負えないほど魔が増えたということだ。

「思うに、萌実さんの出現と共に、魔が増えているのではないかしら」

 び、と由梨花が持っていた扇を萌実に突き付けた。

「えっ! だって私、私だって一応ずっとこの学校です」

「中学までは、もっと町寄りの校舎でしょう。あそこの土地は、そう穢れもないの。大元は山なんだから、山から遠くなるほど魔も出ない。あなたが高校の、山に一番近い校舎に来るようになって、さらに思い切り山の中の茶道部に入った。それに、魔が反応したのではないかしら」

 くら、と萌実は眩暈がした。
 何だか花のJKライフがよくわからない魔まみれになっただけでも結構ショックなのに、それが他でもない己のせいだという。
 しかも、好きな人に近付いた故の、いらぬ能力開花、といったところだ。

「まぁまぁ。きっと萌実さんも、自然と魔に引き寄せられたのよ。だってそれだけの力があるんだもの。魔を滅するために、魔の巣窟に導かれたんだと思うわ」

 はるみがシャレにならないフォローを入れる。
 そんな運命的出会いいらない。

「学校での魔の本拠地である山に近付くこと自体、何らかの作用があってのことよ。でないと誰があんなところに足を踏み入れようと思うのです」

 何か馬鹿にしたように由梨花に言われるが、萌実が山に足を踏み入れる羽目になったのは、魔どうこうではなく、憧れの先輩の部室に行くための、可愛い乙女心だったはずだ。
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