結構な腕前で!
「で、だな。そう考えると、萌実ちゃんが茶道部に入部したから魔の出現率が上がったってのも、まぁわからないでもない。茶道部ではそこまで萌実ちゃんの力を引き出すことはなかったと思うが、もしかしたら、魔は萌実ちゃんの力を感知してたのかもしれないし」

「でもそれだとおかしくない? 華道部では魔は萌実さんを避けてたのに、茶道部では、私たちと同じように襲い掛かられてたじゃない。萌実さんの力を感知してたんだったら、避けるべきでしょ?」

「それなんだがなぁ……」

 はるみの疑問を受けて、せとみが少し言いにくそうに、ちらりと萌実を見る。

「華道部では、魔的にはヤバいぐらいの力が出てたんだと思う。だから避けてたんだけど、茶道部ではそこまでではない、と思われたんだろ。何かちょっと、俺たちよりも強いかもしれない奴が来た、ぐらいの認識だったんじゃないかな。で、魔的には厄介だから、俺たち共々始末しちまおうと思われたのかも」

「えっと。じゃあここ最近の魔の活性化は、私たちを一気に殲滅せんがため?」

「そう……なんじゃないかな。俺たちは放っておけても、萌実ちゃんはマズいと判断したのかも」

「萌実さんの力が最大化しない茶道部で、萌実さんを始末しようってことね」

 何だか物凄く怖いことを言っている。
 詳しく聞いたほうがいいのか、はたまたむしろ知らないほうがいいのか。
 萌実がぐるぐる考えていると、由梨花が、花鋏を手に立ち上がった。

「なら茶道部にも、あの子を置いておけばよろしいのでは?」

 そう言って、庭に降りる。
 自生している食虫植物を取りに行くのだろう。

「ん、ちょっと待て」

 ぱ、とせとみが立ち上がり、由梨花の後を追う。

「あらあら。何だかすっかり仲良しね」

 にやにやと言うはるみを振り返り、せとみが馬鹿にしたように言う。

「阿呆。あいつがどうやってあの植物を扱うのか、興味ないのか」

「あ……。なるほど、それもそうね。それにしても、何か今日のあんたは真面目で気持ち悪いわ」
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