結構な腕前で!
「やっぱり魔が多ければ多いほど、体力も消耗するんでしょうね。魔の数と比例してる」

「へー。いっつもいっつもあんな引くほど食べる人じゃないんですね」

「ていうかさ、部活があったら、どうしても魔と戦うしね。そのための部活なんだし。だからまぁ、休日以外はあんな感じよ」

 つまり、学校でしかせとかを知らない萌実には、せとかの通常の食事の量などわからないというわけだ。

「家ではちゃんとした、普通の流派だしね。表、というか」

「普通の流派だったら、先輩のお家でもお茶菓子は普通……」

「そういうこと。裏流派のお菓子がでかいの」

「はぁ、納得」

 結局はるみはケーキを八等分した。

「余りは……せとかとせとみが取り合いするでしょうねぇ」

「せとみ先輩も大食漢なんですね」

「せとかよりはマシよ。せとかは内在する力が大きい分、消耗も激しいみたい」

「……私もそのうち人が呆れるほどの大食漢になるのでしょうか」

 はた、と気付いて、萌実が言う。
 萌実の力もせとみタイプよりはせとかタイプだ。
 しかも、せとかよりも強い。

「あら。でも萌実さんは、今までそんな感じたことはないのでしょう?」

「人並みにお腹は空きます。でも量は普通ですよ? 結構すぐにお腹いっぱいになりますし」

「萌実さんは眠気のほうに行くのかもね」

 それもちょっと違うと思う。
 せとかだって、爆発的に力を放出した後は意識不明で眠りこける。
 あれと同じではないのか?

「心配しなくても、萌実さんの力は由梨花寄りよ。厳密には、誰とも同じではないんだけど。私たちは、どこか無理をして人の身体に対魔の力を乗せてる感じだけど、萌実さんは違う。多分元々そういう力に対応できる身体なのよ」

「そう……なんですか?」

「だってあれだけの力を放出しても、けろっとしてるでしょ。私たちの力とは、根本が違うわ。多分そこのところは、由梨花が調べてきてると思う」

 はるみに促され、萌実はケーキの載った盆を持って、茶室へと戻った。
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