結構な腕前で!
「さて。これで魔にとっては華道部と同じ条件になったわけですが。この地の魔に、この植物がどれほど効くのかですね」

 皆でお茶を飲みながら、様子を見る。
 魔の量が下界とここでは全く違うので、食虫植物がどの程度効くのかもわからない。

「萌実さん、眠くない?」

「あ、はい。大丈夫です」

 華道部では瞑想したから悪かったのだろうか。
 ちらりと萌実は床の間を見た。
 活けられたびーちゃんたちは、葉っぱを括っていた糸も切られ、通常の姿に戻っている。

---ここでも集中したら、意識が持って行かれるのかな---

 華道部より魔の力が強い分、違う感じがあるかもしれない。
 ふ、と萌実はびーちゃんを見たまま、気持ちを集中してみた。
 目を瞑ったほうがいいかもしれないが、久しぶりにせとかの前なのに、居眠りしてしまったら心証が悪い、と思ったのだ。

 しばらく何も考えないで、びーちゃんを見ていた萌実は、一瞬、わさ、とびーちゃんが動いたように感じた。
 その瞬間、すとんと何かを感じ、がばっと立ち上がる。

「萌実さん?」

 横に座っていたはるみが、驚いて萌実を見上げた。
 そのとき。
 いきなり茶室の天井の隅から、もわ、と煙が湧いて出た。

「出たなっ」

 せとみの柄が一瞬にして悪くなり、懐から出した扇を構えて畳を蹴る。

「おらあぁぁぁっ!」

 下段から斬り上げるように、せとみの振るった扇は煙を両断する。
 斬られた上半分を、由梨花が突き上げた花鋏で受け止めた。

「そぃやっ」

 軽い掛け声と共に、由梨花が手首を捻って受けた魔を床の間のほうへと投げた。
 びーちゃんたちが、それにがっつりと食い付く。
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