結構な腕前で!
「じゃあ初代は無理やりこいつと閉じ込められたわけじゃないのか」

「初代はもっと、凄い力を持っていたんじゃないでしょうか。これの力を借りなくても、魔を吸い寄せられるとか。あるいは自ら、魔を食らったのかもしれませんし」

「そうか。人を超えてほとんど亜空間になったものから生まれたから、こいつらは魔に反応し、亜空間を作れるってことだな」

「そういうこと。生まれたところに帰る。そう考えれば、自然の摂理です」

「同じようなものだから、共鳴もしやすいってことだな。徐々に盲目的に力あるものを神とする時代でなくなって、神の子は無理やり贄にされるようになったのか」

「そうだと思います」

 頷き、ようやくせとかは、びーちゃんから書物を取り上げた。
 普通のハエトリグサより大分でかいため、力も強い。
 書物には歯形(?)がたくさんついていた。

「俺たちは何なんだろうな」

 ぽつりとせとみが言った。
 真行寺家と、萌実のことはわかった。

 だが北条家とは何なのだろう。
 感覚的に、力の強さは真行寺家よりも上だ。
 おそらく対魔に関しては、最も強い家柄なのではないだろうか。

「僕らも南野さんと似たようなものですよ。南野さんのところだって、別に旧家でもない。突然変異だと言ったでしょう。ま、そういった者が現れやすい家ではあったんでしょうけどね。名前に力が宿る、というのは、それこそ古来からの言い伝えです」

「単なる言い伝えじゃないのか」

「ところがどっこい、そうでもないんですよ。昔の人は、意味のないことはしません」

 今度は自分の扇をびーちゃんに齧らせながら、せとかが言う。
 扇でよく魔を打ち払うからか、先ほどよりも激しく、びーちゃんは扇に齧りついている。
 いいのだろうか。
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