結構な腕前で!
「でもまぁ運命的ではありますよね。魔に引っ張られたとはいえ、よくもまぁこの広い世界で出会えたものです」

「出会うべくして出会ったってことか」

「そうです。あなたと真行寺さんもね」

「それを言うなら、俺とはるかだってそうだ」

「イトコに運命を感じるなんて、嫌じゃないですか? 劇的な出会いが、そんな身近に」

 む、と口を噤み、せとみは、ぷいっと横を向いた。
 確かに小さい頃から、それこそ生まれたときから一緒にいるイトコが運命の相手など、お手軽だと言えなくもないような。

「大体ずっと一緒にいた相手に本気になれるもんですか? どこで気持ちが恋愛モードに切り替わるんです? それとも小さい赤子の頃から、恋愛対象として見てたんですか?」

「そんなわけねぇだろ!」

「だとしたら、その切り替わるポイントってものが不思議です。そんな気になってるだけじゃないんですかね」

 いつから、と言われると、せとみにだってわからない。
 そのポイントがわからないので、そんな気になっているだけ、と言われると、違うと強く否定できないのも事実だ。
 はるかのことを本気で好いている、とは思うが、由梨花のちょっとした意外な一面を見てどきっとする、というようなときめきはない。

「……ていうか、何で真行寺なんかと比べてるんだよ!」

 知らず由梨花のことを考えていたことに自分で驚き、せとみがいきなり叫んだ。

「比べてませんよ。比べるまでもなく、真行寺さんはお勧め物件ではありますが」

「いいのかよ。お前の身がもたんかもしれんぞ」

「あなたが向こうの家に行けばよろしい」

「嫌だね。あんな堅苦しい家、息が詰まる。あいつにゃ、お前のほうが合ってると思うけどな」
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