結構な腕前で!
「多分今まで萌実ちゃんほど力の強い奴もいなかったんだろ。いたら俺たちが放っておくはずがないし。身体の中全部を壺にするなんて、そうそうわかるもんじゃない」
何だかんだで正論なので誰も口を挟めなかったせとかに、不意にせとみが意見を述べた。
しかも今までだと考えられない、由梨花寄りの意見だ。
「それに、真行寺の言うことも一理ある。完全に無状態なら、存在そのものが危うくなるんじゃないか? 認識できないってのも、わからないでもない」
ほぅ、とせとかが、意味ありげにせとみを見た。
「い、いや。せとかだって、ちょっと考えりゃわかるだろ」
せとかの視線に気付き、せとみが少し慌てたように言い訳する。
おやおやこれは、面白い方向に進んでるのかしら、とはるみはせとみの様子を窺った。
次いで、はるかのことも観察する。
「……ま、いいですよ。確かに完全に無状態になる人間なんて、今まで知らなかったですしね」
せとかが呟くように言い、折よくもわんと湧いた煙を、しぱんと扇で打った。
狙ったのか何なのか、打たれた魔はそのまま吹っ飛んで、一直線に床の間のびーちゃんへ。
哀れ魔は直接びーちゃんの餌食になった。
「うわぁ、凄いわねぇ~」
初めてびーちゃんの食事風景を見たはるかが、顔をしかめて言った。
「私たちは壺に回収するだけだから、ちょっと引くわ~」
「そうですか? 喜んでものを頂くのはいいことですよ。あんなに喜んでくれると、こちらも世話のし甲斐があるってなもんです」
さらっと言ったせとかに、由梨花が意外そうな目を向けた。
そのまま、じっとせとかを見る。
「せとかの感覚ってわかんないわ」
「こいつ、真行寺と似たり寄ったりの変人だからな」
「ちょっとせとみ様。わたくしが変人って、どういうことですの」
はた、と我に返ったように、由梨花がせとみに噛みつく。
が、その由梨花を、萌実は強張った表情で見つめた。
何だかんだで正論なので誰も口を挟めなかったせとかに、不意にせとみが意見を述べた。
しかも今までだと考えられない、由梨花寄りの意見だ。
「それに、真行寺の言うことも一理ある。完全に無状態なら、存在そのものが危うくなるんじゃないか? 認識できないってのも、わからないでもない」
ほぅ、とせとかが、意味ありげにせとみを見た。
「い、いや。せとかだって、ちょっと考えりゃわかるだろ」
せとかの視線に気付き、せとみが少し慌てたように言い訳する。
おやおやこれは、面白い方向に進んでるのかしら、とはるみはせとみの様子を窺った。
次いで、はるかのことも観察する。
「……ま、いいですよ。確かに完全に無状態になる人間なんて、今まで知らなかったですしね」
せとかが呟くように言い、折よくもわんと湧いた煙を、しぱんと扇で打った。
狙ったのか何なのか、打たれた魔はそのまま吹っ飛んで、一直線に床の間のびーちゃんへ。
哀れ魔は直接びーちゃんの餌食になった。
「うわぁ、凄いわねぇ~」
初めてびーちゃんの食事風景を見たはるかが、顔をしかめて言った。
「私たちは壺に回収するだけだから、ちょっと引くわ~」
「そうですか? 喜んでものを頂くのはいいことですよ。あんなに喜んでくれると、こちらも世話のし甲斐があるってなもんです」
さらっと言ったせとかに、由梨花が意外そうな目を向けた。
そのまま、じっとせとかを見る。
「せとかの感覚ってわかんないわ」
「こいつ、真行寺と似たり寄ったりの変人だからな」
「ちょっとせとみ様。わたくしが変人って、どういうことですの」
はた、と我に返ったように、由梨花がせとみに噛みつく。
が、その由梨花を、萌実は強張った表情で見つめた。