結構な腕前で!
「せとかの力は、種類は同じとはいえ、ちょっと特殊でしょ。一気に物凄い力を放出できる代わりに、その後ぶっ倒れて意識不明。バランスが悪いのよ。力を使うほどに、自分の気っていうの? それも使ってしまうんだと思う。だから、自分の気配ってものがなくなっていくのよ」

「大丈夫なんですか、それ」

 気がなくなる、ということがどういうことかはわからない。
 だが何となく、よろしくないことであろうとは思う。
 命に係わるような。

「考えてみれば、萌実さんとせとか、力の質が似てるわ。せとかは外に爆発的な力を発揮して意識不明。萌実さんは、内に凄い力を作って意識不明。そっか、そういうこと」

 はるみが大きく手を叩いた。

「せとかと萌実さんは、対になってるんだわ。逆の力の凄い版っていうの? てことは、萌実さんのカンフルに、せとかがなれるんじゃない?」

「な、なるほど。……いや、ちょっと待ってください。せとか先輩のカンフルとしての役割は、経験済みですし外向けの力だからわかりますけど、私はどうでしょう? 私が壺になったところで、カンフルがあっても中に取り込む以上は、結果は同じじゃないですかね?」

「あー……、なるほどね。そっか、そうよね」

 むしろ下手に壺状態でカンフルを使うと、意識のあるまま己の中にどんどん魔を吸い取る羽目になるのではないか。
 何となく、それは避けたい。

「歴代神の子は、皆壺になって亡くなってるんですよね。でも初代は? 初代って確か、他の人より強い力があったんですよね? あの植物との関係もありますし」

「ああ、びーちゃんね。あれは初代神の子の遺体から生えたって話よ」

 うげ、と萌実の顔が引き攣る。
< 306 / 397 >

この作品をシェア

pagetop