結構な腕前で!
第三十三章
その日の夜、いつものように、北条家の茶室に細く灯りがともっていた。
「辛気臭ぇなぁ。電気つけろよ」
入ってきたせとみが、入り口のスイッチを押そうとする。
それを、せとかが制した。
「煌々とつく灯りは好きではありません。本来『灯り』とは、これぐらいのことを言うのですよ」
昔ながらの行燈のような電灯を、せとかは愛用している。
柔らかな灯りは心地いいが、部屋全体まで照らすほどの強さはない。
「こんな暗い部屋で、わけのわからん植物を相手に遊んでるから、暗いとか言われるんだぜ」
「実際暗いじゃないですか」
「電気のことじゃねぇよ。お前の性格だ」
「別に誰に何を言われようと構いませんよ」
扇をがじがじと齧るびーちゃんを眺めながら、せとかが言う。
はぁ、と一つため息をつくと、せとみはどかっとせとかの前に座った。
「で、何かわかりましたか?」
びーちゃんに視線を落としたまま、せとかが問う。
「まぁな。ていうか、何を調べんだったっけ」
「それもわからず真行寺家へ行ったんですか? 南野さんのためになりませんよ」
眉を顰めて言うせとかに、せとみは変な顔をした。
「萌実ちゃんのため? ……ああ、まぁ生贄にならんで済む方法を探るんだったっけか」
「……ほーぅ。せとみは別に、南野さんのためにわざわざ自己犠牲を強いて真行寺家へ乗り込んだわけではなかったんですか」
「何だそれ」
「はるかが言ってましたよ。せとみは南野さんの窮地を救うために、あれだけ避けたいた真行寺さんの懐に飛び込んだってね」
うぐ、とせとみが口を噤む。
そしてきまり悪そうに視線を泳がせた。
「辛気臭ぇなぁ。電気つけろよ」
入ってきたせとみが、入り口のスイッチを押そうとする。
それを、せとかが制した。
「煌々とつく灯りは好きではありません。本来『灯り』とは、これぐらいのことを言うのですよ」
昔ながらの行燈のような電灯を、せとかは愛用している。
柔らかな灯りは心地いいが、部屋全体まで照らすほどの強さはない。
「こんな暗い部屋で、わけのわからん植物を相手に遊んでるから、暗いとか言われるんだぜ」
「実際暗いじゃないですか」
「電気のことじゃねぇよ。お前の性格だ」
「別に誰に何を言われようと構いませんよ」
扇をがじがじと齧るびーちゃんを眺めながら、せとかが言う。
はぁ、と一つため息をつくと、せとみはどかっとせとかの前に座った。
「で、何かわかりましたか?」
びーちゃんに視線を落としたまま、せとかが問う。
「まぁな。ていうか、何を調べんだったっけ」
「それもわからず真行寺家へ行ったんですか? 南野さんのためになりませんよ」
眉を顰めて言うせとかに、せとみは変な顔をした。
「萌実ちゃんのため? ……ああ、まぁ生贄にならんで済む方法を探るんだったっけか」
「……ほーぅ。せとみは別に、南野さんのためにわざわざ自己犠牲を強いて真行寺家へ乗り込んだわけではなかったんですか」
「何だそれ」
「はるかが言ってましたよ。せとみは南野さんの窮地を救うために、あれだけ避けたいた真行寺さんの懐に飛び込んだってね」
うぐ、とせとみが口を噤む。
そしてきまり悪そうに視線を泳がせた。