結構な腕前で!
「壺にならなかったっていうのも、その力によるものなんですか?」

 はるかの戯言を無視し、萌実は話を進めた。

「攻撃系の力も凄かったから、自ら壺になっても意識を保てるとか。中に取り込みつつ魔を滅することも可能とか」

 取り込むと同時に滅してしまえば、己の身体に負担はないのではないだろうか。
 萌実が言うと、せとみは、うーん、と首を傾げた。

「そうだな……。実際どう対処してたのかはわからないけど。でも、うん。そんなところじゃないかな。あの植物は、初代神の子から生えたっていうし、とするとそれまでそんなものなかったってことだしなぁ。力の分散がなされたってことかな」

「壺の部分と、攻撃と、あとは……守りってところですかね」

 考えつつ、せとかが唸る。
 自分たちの力はかなりアンバランスだ。
 それは力の分担が決められたからか。

 だが全ての力を一人の人間に負わせると、寿命が縮む。
 そもそもこんな力、人の範疇を超えているのだ。

「初代以降の神の子というのは、あくまで南野さんの力の持ち主ですね。僕の力のほうは、見つからなかったんでしょうか」

「それなんだよな。何で初代以降の神の子は、軒並み生贄になったのかって考えたときに、せとかの力に目が行くんだ。元々一人の力なんだったら、せとかの力の持ち主がいれば、萌実ちゃんの力の持ち主を救えたんじゃないかと思う。二人で協力すれば、その時代の魔を全てやっつけられて、且つ萌実ちゃんの力の持ち主も死ぬことはない。初代と同じ条件だからな」

 せとかとせとみの分析に、萌実の表情が少しだけ明るくなる。

「ただ、一気に魔を滅するには、強力な餌が必要なのも事実だ。否応なく魔を引っ張るものがね」

 せとみはいつになく真剣な表情で、メモ帳をぺらぺらめくる。
 そんな滅多に見せない真剣な表情でそういうこと言うと、またはるか先輩がいらんこと言うって、と萌実はちらりと横目ではるかを盗み見た。
 案の定、はるかの目尻は下がっている。
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