結構な腕前で!
「せとみ、いつになく真剣ね。そんなに萌実さんが大事?」

 にまにまとはるかが言った瞬間、思わず萌実は、ちっ! と激しく舌打ちした。
 やば、と思ったが、同時に、ぱし! と音がする。

「はるかはちょっと、そのお花畑脳を何とかしなさい。今はそれどころではない。人ひとりの命がかかってるんです。浮かれた気持ちは不愉快ですよ」

 せとかが、扇を手の平に打ち付けて、きっぱりと言う。
 ぐ、とはるかは引き下がり、小さくなった。
 何となく、はるかはよくせとかにこっぴどく怒られているような。

「まぁまぁ部長殿。ちょっとは明るい話題があったほうがよろしかろう。確かに少し、この場には似つかわしくありませなんだが」

 土門がとりなすように、はるかの後ろからフォローを入れる。
 じろりとそちらに視線を動かし、せとかは大きく息をつくと、ぱ、と持っていた扇を開いた。

「……で? せとみの報告は以上ですか」

「そうだな。でも何となく、俺たちの力がわかっただろ。多分核となるのがせとかと萌実ちゃんだ。で、その残骸を、俺たちが少しずつ受け継いでるってところかな」

「残骸?」

 はるみが、少し口を尖らせて首を傾げる。

「俺は攻撃系の力、はるみたちは、萌実ちゃんの力を少しだけ受け継いでるってことだ。あの植物と萌実ちゃんの力は同じようなものだしな。同じだから、共鳴するんだろうし」

「とすると、初代がどうやって魔を殲滅したのかがカギになりますね」

「そうなんだよ。初代は一人でその時代の魔を大方やっつけてるんだよな。しかも年齢的に、長い期間かけて滅していったわけじゃないっぽい。多分一気に蹴散らしたと思うんだ」

「何でそこまでわかるんです?」

 萌実が聞くと、せとみはちょっと自慢げに、ちちち、と指を振った。
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