結構な腕前で!
「よく考えてみなよ。初代は俺たちぐらいの年齢には亡くなってるんだ。生まれたときから魔を蹴散らしてきたとも思えない。自我が芽生えて、そういう役割を負って、と考えると、それなりの歳になってからだろ? とすると十年ぐらいしか魔を退治してた期間はないんだ。それでもその時代の魔は一掃できた。ということは?」

 はい、とマイクを差し出すように、せとみが萌実に扇を突き出す。

「えーと……。最期に一気に、魔をやっつけた、と?」

「最期かどうかはわかりませんが。おそらくどこかのタイミングで、一気に魔の掃除をしたのだと思います」

 せとかが補足する。

「つまり、初代は一人で短期間に、全ての魔を滅することができたってことだ」

「我々はそこまででなくても、今までずっとそれなりに魔を退治してきた。初代より人数も多い。一気に殲滅する数も、初代の頃より少ないと思っていいはずです」

「そうね。どう考えても、一人で処理するよりも何人かで分担したほうが効率いいもの。いくら力が強くたって、一人では限界があるわ」

 うん、とはるみも頷く。

「初代は周りに似たような能力者がいなかったから、自分を囮にするしかなかったんだ。まぁタイミングとかは、一人のほうが合わせやすいかもな。息が合わなかったら終わりだし。でもその分、負担は大きいだろう。その点俺たちは役割を分担できる。萌実ちゃんが気を失ったって、俺らが守ってあげられるってことだ」

 嬉しいことを言ってくれるが、過去何度もそう言って、大して守って貰えなかった萌実としては、ほんとかよ、と思ってしまう。

「それに僕は、待つ気はありません。とっとと元を断つ方向で動きます」

「でもせとか、どうやって?」

「そのために、南野さんの能力を使うんです。少し前から気配を読む特訓をしてますしね。しっかり魔の気配がわかるようになれば、この山のどこが元凶なのか、探り出すこともできるでしょう」
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