結構な腕前で!
「でもさ、びーちゃんがいるってだけで、結構な戦力になるとは思うわ。魔の皆が皆、穴の中心から出るわけじゃないでしょうし。うっかり端っこから出た魔は、びーちゃんが食べてくれるわけでしょ」

「そうか。じゃあやっぱり、真行寺にも協力して貰わないとな」

 頷くせとみに、おや、と女子陣が目を向ける。

「あら珍しい。協力を仰ぐことに、拒否反応はないわけ?」

「今までは頑として自ら由梨花に近付くなんて、しなかったのに」

「「最近仲良しよねぇ~??」」

 久々のハモり。
 せとみはうるさそうに、ひらひらと手を振った。

「いろいろ情報を持ってる奴なんだから、利用できるならそれに越したことはないだろ」

「ひどーい。乙女心を踏みにじったら、後が怖いわよぉ~?」

 はるかが話を続けるが、はるみは黙って、じ、とせとみを見た。
 由梨花と仲良くなってくれるのは喜ばしいことだ。

 せとみはあくまで情報源としての付き合いだ、と主張しているが、果たして本当にそうだろうか?
 初めこそ本当にしぶしぶだったが、最近は由梨花のところに行くのも、そう嫌々という感じではない。

 ちろ、とはるみはせとかを見た。
 せとかも同じように、せとみを観察している。
 おそらく同じようなことを思っているのだろう。

「真行寺さんがせとみを追いかけ回しているのは有名だもんね。私は苦手だけど、まぁハイスペックではあるし、せとみ、頑張れ~」

 せとみの気持ちを知ってか知らずか、はるかが無邪気に応援する。
 かつてのせとみの気持ちを考えれば、はるかからこのように言われるのは辛いだろう。
 もっともせとみの気持ちがどの程度の強さだったのかは、おそらく本人にも謎なのだが。
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