結構な腕前で!
「まぁ……確かにそうだな」

 せとみも頷いて、その場の面々を見た。
 由梨花も攻撃系とはいえばそうなのだが、守りがない分あまりに大きな魔は相手にできない。

 土門も然り。
 はるかとはるみも壺がメインなので、攻撃に関しては似たようなものだ。

「明日が楽しみですね」

 にこ、と笑いかけられても、さすがに萌実の気持ちは上がらない。
 が、せとかはそんな萌実のどんよりした空気を、ぱんぱんと手を叩いて浄化する。

「さ、では今日は上がりましょう。皆、ご苦労でしたね。明日に備えて、各々英気を養ってください」

 明日は土曜日。
 週休二日のこの学校はお休みである。
 休みの日に死地に赴くなんて、と萌実は相変わらず暗い空気を纏っている。

「せとみ様、お送りしますわよ」

 由梨花がせとみを伴い、部室を出ていく。
 はるかも土門と共に出て行った。

「南野さん」

 不意にせとかが萌実を呼んだ。

「ご飯食べに行きませんか?」

「えっ? いいんですか?」

「ええ。あ、はるみも行きます? いつもの『充』ですけど」

 さらりとはるみも誘う。
 誘ってくれるのは嬉しいが、単に余った者を誘っただけとも取れる。
 はるみが、ちらりと萌実を見た。

「お邪魔してもいいのかしら?」

 まさか駄目だとは言えない。
 それに、やっぱり部室でもないところでせとかと二人だと緊張する。
 萌実が頷こうとしたとき、せとかが先に口を開いた。

「構わないですよ。はるみがいてくれたほうが、緊張しませんので」

 そう言って、せとかは火種に蓋をする。
 ん? どういうこと? という萌実の視線を、せとかは「着替えてらっしゃい」という言葉で流した。
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