結構な腕前で!
「餅めんたいチーズに豚玉に卵、焼きそばと……チャーハンもつけますか」

 相変わらずあり得ない注文だ。
 しかも前より一品多い。

「私は牛筋玉」

「じゃあ私は……餅めんたいも美味しそうですけど、鶏つくね玉」

「萌実さん、前もそれじゃなかった?」

「美味しかったので」

 萌実とはるみは標準量だ。
 が、せとかがぺしぺしと机を叩く。

「駄目ですよ、二人とも。せめて卵をつけなさい」

「あ、そうねぇ。じゃ卵トッピング」

「二つ」

「何で」

 店のおばちゃんに注文するせとかに、はるみが胡乱な目を向ける。

「二人とも、そんな小食でどうするんです。明日は、がばっと体力持って行かれるかもしれないのに、それっぽっちじゃ力もつきませんよ!」

 ぺしぺしと机を叩いて説教される。
 確かに量だけで言えば、萌実とはるみの量はせとかの四分の一だ。
 が、せとかの量が異常なのに気付いて欲しいものである。

「せとかはさぁ、ちょっと一般的な食事の量ってのを学んだほうがいいと思うわ」

 運ばれてきたタネを鉄板に流しながら、はるみが言う。

「失礼な。僕だって普通の人間の食事の量ぐらいわかってます。でも僕らは普通の人よりエネルギー消耗が激しいわけですから、補給もそれに伴って多くなるに決まってるでしょう」

「まぁ……せとかの力は人レベルじゃないものね。力を放出しなくても、内在する力があるってだけで、何もしなくても消耗するってのは、何となくわかるわ」

 話しながらも目の前の鉄板いっぱいに広がったお好み焼きたちは、瞬く間になくなっていく。
 量には引くが、惚れ惚れするほどの食いっぷりだ。

「萌実さん。こんな旦那、大変よねぇ」

 いきなりはるみが凄いことを言った。
 ちょうど卵を割っていた萌実は、驚きのあまり、ぐしゃ、と潰してしまう。

「ああっ! か、殻が」

 慌てて焼けてしまう前に、混じってしまった殻を回収する。
 しかし手早くしないと、お好み焼きに卵を乗せる前に固まってしまう。
 動揺しつつ、わたわたしていると、不意に前からコテが伸びてきた。
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