結構な腕前で!
「びーちゃんを可愛がるし。せとかの趣味って、ほんっとわからないのよ。大体ね、この格好。萌実さん、引かなかった?」
ぴ、とせとかを指差して言う。
「これ、正装でも何でもなく、せとかの普段着なのよ」
「ああ、そのようですね。まぁちょっとびっくりしましたけど、お家がお家だし」
「そうねぇ……。そういや由梨花も普段着が着物っぽいわね」
由梨花の本日のお召し物も着物だ。
ただそれは普段着だからなのか、はたまたせとみに会うからか(つまりお洒落着)、判然としないが。
だとしても、お洒落着が着物という時点で一般人とはちょっと違うようにも思う。
着物というのは、一般人にはかっちり正装だ。
お洒落着というレベルではない。
「でもせとみは普通よ? ていうか、せとかは洋服を持ってない時点で普通じゃなくない?」
「そうですね。それはちょっと思いますけど。でもまぁ本人に不都合がなければ、いいんじゃないでしょうか」
「不都合があるかもしれないじゃない。彼女ができたって、デートの服装は常にこれよ?」
「……やっぱりそうなんですか」
ずいっと萌実が身を乗り出すと、はるみが肩を竦めた。
「だってほんとに洋服持ってないもの。まぁ今までせとかがデートに行ったことはないから、どうすんのかは知らないけど」
「え、せとか先輩、今までずっとフリーですか」
「私の知る限りはいないわね。言ったでしょ、存在感がないんだから」
「えー、勿体ない」
皆見る目なーい! と思うのだが、そのお陰で萌実にもチャンスがあるのだ。
せとかの存在感のなさに感謝である。
「ていうかさ、寝ちゃったんなら手ぇ離せばいいのに。せとかも何いつまでも握ってんのかしら。寝たら身体が自然に回復するのよ」
今までの力の放出後の爆睡からしてもそうである。
やはり少しは期待してもいいのではないかな、などとほくそ笑む萌実を残し、はるみは部屋を出て行った。
ぴ、とせとかを指差して言う。
「これ、正装でも何でもなく、せとかの普段着なのよ」
「ああ、そのようですね。まぁちょっとびっくりしましたけど、お家がお家だし」
「そうねぇ……。そういや由梨花も普段着が着物っぽいわね」
由梨花の本日のお召し物も着物だ。
ただそれは普段着だからなのか、はたまたせとみに会うからか(つまりお洒落着)、判然としないが。
だとしても、お洒落着が着物という時点で一般人とはちょっと違うようにも思う。
着物というのは、一般人にはかっちり正装だ。
お洒落着というレベルではない。
「でもせとみは普通よ? ていうか、せとかは洋服を持ってない時点で普通じゃなくない?」
「そうですね。それはちょっと思いますけど。でもまぁ本人に不都合がなければ、いいんじゃないでしょうか」
「不都合があるかもしれないじゃない。彼女ができたって、デートの服装は常にこれよ?」
「……やっぱりそうなんですか」
ずいっと萌実が身を乗り出すと、はるみが肩を竦めた。
「だってほんとに洋服持ってないもの。まぁ今までせとかがデートに行ったことはないから、どうすんのかは知らないけど」
「え、せとか先輩、今までずっとフリーですか」
「私の知る限りはいないわね。言ったでしょ、存在感がないんだから」
「えー、勿体ない」
皆見る目なーい! と思うのだが、そのお陰で萌実にもチャンスがあるのだ。
せとかの存在感のなさに感謝である。
「ていうかさ、寝ちゃったんなら手ぇ離せばいいのに。せとかも何いつまでも握ってんのかしら。寝たら身体が自然に回復するのよ」
今までの力の放出後の爆睡からしてもそうである。
やはり少しは期待してもいいのではないかな、などとほくそ笑む萌実を残し、はるみは部屋を出て行った。