結構な腕前で!
「力の連射をしたからか? 全部の力を注ぎ込んだってことか」

「そうですね……。元々あの力は、魔に対する力であったわけで、魔がいなくなれば必要のないものです。神の子が命を落とすのを考えれば、相応の代償でしょう。むしろこれだけで済んだのが奇跡かと。南野さんのお陰ですね」

 にこ、と笑顔を向けられ、萌実は赤くなりつつも、いえいえ、と両手を振る。
 そして改めて、己の身体を探ってみた。

 確かに人ひとりが死ぬほどの力が、せとかの攻撃力だけに匹敵するとも思えない。
 そりゃあの爆発的な力は相当なものだが、それだけであとは何のダメージもない、というのは割に合わないような気もする。

「てことは、私の力もなくなったって考えるのが妥当ですよね」

 萌実は『自分の力』というのがどういうものか、いまいちわからない。
 せとかが萌実を使うときだけ、せとかから流れてくる『力』を感じることができるが、それ以外ではそういった力は感じない。
 体調に変化もないので、なくなったかどうかもよくわからないのだが。

 萌実の言葉に、せとかは少し首を傾げた。

「どうでしょうね。いやでも、元々内在する力があるわけではないので、関係ないのかもしれません。僕も、守りの力は継続中でしょうし」

「どういうことです? それじゃ、実は魔を根絶させるのに、そんな大層な力は必要なかったってことになるように思います。神の子一人の命も必要だったんですか?」

「まぁ神の子に拘らなければ、今までも贄など出さなくても良かったかもしれませんね。でも多分、今までここまでの攻撃力を持つ人間が現れなかったんでしょう。それに、今回は神の子の力も凄まじかったんですよ」

「え、わ、私?」

 驚いて己を指差す萌実に、せとかはどこか面白そうに、大きく頷いた。

「力の放出をする前から、物凄い力が漲ってましたよ。最終的に放たれた力は、思ったよりも凄い力でしたし。だからこそ、連射をしても完全に意識を飛ばさなくても済んだんです。南野さんの中で、僕の力が物凄い増幅された結果でしょう」
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