結構な腕前で!
 そんな話をしているうちに、北条家についた。
 立派な門を潜ると、正面玄関にひと際高い高下駄があった。

「……真行寺先輩がいらしてるんですか」

「……そのようですね。彼女単体では花粉もさほど撒き散らさないってことですかね」

 少し顔をしかめながら、せとかがひくひくと鼻を動かす。
 特に反応しないようだ。
 そもそも由梨花は人間であって花ではないので、由梨花自身が花粉を撒き散らすこともないのだが。

 居間に行くと、せとみと由梨花、それにはるみが談笑していた。

「あっせとか、遅かったわねぇ。桜庵の抹茶ブッセよ。由梨花の手土産~」

 はるみが机に広げられていた桐箱を差し出す。
 桜庵はせとみの好きな店だ。
 基本的に和菓子屋だが、和菓子風のケーキや焼き菓子なども扱っている。
 そう高級店でもないが、わざわざ桐箱に詰めさせる辺りが由梨花というか。

「今日は抹茶尽くしですねぇ」

「ん? どこか行ってきたの?」

「念願のメガ盛り和風パフェを食べてきたのですよ」

「ふーん? 何気にデートしてきたってわけ」

 にま、とはるみが萌実を見、次いでせとかの格好を見る。

「良かったわねぇ、せとか。その格好でもデートに付き合ってくれる子なんて、そういないわよ」

「そうですね。楽しかったですし、また誘ってもいいですか?」

 はるみの言葉に何ら反応することなく、せとかが萌実に笑顔を向ける。
 すかさず萌実は拳を握りしめ、大きく頷いた。

「はははいっ! わたくしで良ければ、いつでもどうぞっ!!」

「良かった」

 せとかの笑顔が眩しい!!
 鼻血を噴きそうになりながら、萌実はよろよろと勧められたソファに沈み込んだ。
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