結構な腕前で!
「そうですわね。今まで深く考えたことはありませんでしたけど、言われてみれば家のびーちゃんたちの園に踏み込んだところで、どこぞに落ちるわけでもないですわ。土地に根付いたびーちゃんたちは、逆に空間を閉じるのではないかしら」

 びーちゃんの園……。
 入り込みたくねーな、とつくづく思う。
 萌実など、そんなところに入り込んだら最後、一瞬で気を失うだろう。

---いや、そうなったらせとか先輩が助けに来てくれるかな? そうなったらまるで、いばら姫じゃーん!---

 何となくシチュエーションは似ているように思うが、食虫植物の園で眠りこける姫など助けようと思うだろうか。
 だがそこをあえて助けに来るのが、ちょっと変な王子であるせとかなのだ。

---面白いじゃん。とすると、やぱりせとか先輩は普通の感覚だったら駄目だな。変人であるが故に、私を助けに行こうと思ってくれるんだもんね---

 乙女チックな妄想なのだろうが、随所に変な部分が垣間見える。
 魔と普通に接してきたから、萌実の感覚も大分おかしくなっているようだ。
 妙な妄想をして一人楽しんでいると、由梨花が、ふぅ、とため息をついた。

「魔が出なくなったのなら、華道部も存続の危機ですわ」

「あ、そっか。一人でも部活として成り立ってたのは、学校側の魔を退治するっていう、裏の目的があったからよね」

 はるみが言い、せとみを指差した。

「せとみだって裏部長の必要はなくなるじゃない。だったらいっそのこと、華道部に入れば?」

「な、何で俺が」

「それは駄目です」

 若干赤くなって狼狽えたせとみに被る勢いで、せとかがばっさり切った。
 由梨花があからさまに不満そうな顔を向ける。
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