結構な腕前で!
「何でよ? せとみだって随分由梨花と仲良くなったんだし、由梨花だってせとみが入ってくれたら嬉しいでしょ?」

「ええ! 歓迎いたしますわよっ! 友禅の一級品でお着物を用意しておきますわっ」

 由梨花が鼻息荒くせとみに迫る。
 たじたじとなりながらも、せとみは以前のようには逃げない。

「せとみも何まんざらでもないような顔してるんです。駄目ですよ」

 ぐぐっと距離が近付いたように思えた二人を、せとかがやはり、ばっさりと切る。

「べ、別に俺は華道部に入ろうなんて考えてねぇよ」

「そうでしょうね。華道なんて、茶道以上に興味はないでしょう」

「やってみたら楽しいものですわよ」

 由梨花が負けじとせとみに迫る。
 が、せとかがそれを無慈悲に押し戻す。

「駄目です。華道なんかやったら、家に入れませんよ」

「そっかぁ。毎日花粉つけて帰られちゃ、せとかが死んじゃうかもだしね」

 はるみが納得したように口を挟んだ。
 せとかだって別に由梨花とせとみの間を裂こうとしているわけではない。
 華道とせとみを離したいだけだ。

「それに、華道部ではお菓子は出ませんよ」

「あ、それは嫌だな」

 あっさりせとみが引く。
 作法として飲み食いできるのは茶道だけだ。
 飲み食いと言っていいのかは謎だが。

「ま、真行寺さんと付き合うのは構いませんよ。でも部活以外で会ってください」

「……まぁ華道部には入らねぇけどな」

 せとみの呟きに、由梨花があからさまに落胆する。
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