結構な腕前で!
「まぁ真行寺さんの命令でしょうけどね」

「はるみもいるから、いいっちゃいいんだけどな。でも有無を言わさず連れ去られるのは、いい加減むかつく。今日こそあの野郎をまいてやるぜ」

 裏部長だけあり、体力には自信があるせとみだ。
 あの但馬が困る姿は見てみたい、と思うが、一方で下手に逃げたら返って怖いような気もする。

 但馬にとって由梨花の命令は絶対だ。
 はたして人かどうかも疑わしい但馬のこと、せとみ捕獲にどんな手を使うかわかったものではない。

「いやでも、せとみ先輩に傷をつけたら、真行寺先輩が恐ろしいだろうし。そこは徹底してそう」

「そうですね。無傷であることは絶対条件でしょうから、安心して逃げ回ってください」

 どこか楽しそうに、せとかがひらひらとせとみに手を振る。
 ち、と軽く舌打ちし、せとみははるかと共に出て行った。

「やれやれ、相変わらず素直じゃないですね、せとみは。意地を張らずに真っ直ぐ華道部に行けばいいものを」

 せとかが柄杓で湯を掻き混ぜながら言う。

「せとか先輩は、せとみ先輩が真行寺先輩と付き合うのはいいんですか?」

「構いませんよ。家では空気清浄機を稼働しておけばいい話ですから。今のお付き合い程度では、そうそう花粉もつきませんしね」

「そっか。そう考えると、結構お似合いかもですね。真行寺先輩も、女子力高そうですし」

 由梨花は美意識も高そうだ。
 まさしく華がある、というのだろうか。

「私も華道、やったほうがいいかな。あ、でも駄目だ。せとか先輩が……」

 茶道よりも華道のほうが、女子力は高そうだ。
 が、萌実に華道はタブーである。
 折角お近付きになれたせとかを自ら遠ざけることになる。
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