結構な腕前で!
「南野さんは僕にとって稀有な存在です。カンフルの必要はありませんが、これからも僕と一緒にいてくれませんか?」

 うわぁっ! と萌実の頭頂から溶岩が噴き出した。
 何この展開! 凄い告白!!

 両手を握られて、いきなりの告白。
 目の前のせとかの真剣な顔にくらくらしながらも、萌実は大きく息を吸った。

「はいぃっ!! よろしくお願いいたします!!」

 怒鳴る勢いで言い、がばっと頭を下げる。
 途端に両手を包んでいたせとかの手が緩んだ。

「良かった。これで家のほうの道場も安泰です」

 ほ、と安心したように、せとかが言った。
 ん? 何か引っかかったような。

「じゃあ帰りましょう。あ、家に寄りません? この機会に、家にある道場にもご案内しておきますよ」

「い、いやあの……。家にも道場があったんですか」

「当然です。そっちが正式だと言ったでしょう。離れの茶室の裏にあるんですよ。ここの道場と同じような罠が仕掛けてあって、魔を集めてるんです。別に土地的にも魔を集めやすいわけではないですし、罠もごく弱いものですので、大した数は集まらないんですけどね。もちろん大元を退治したので、ここ最近はめっきりいなくなりましたが」

 家にも魔ホイホイがあったとは。
 まぁだからこそ、当たり前のように魔を扱えるのだろうが。

 それより折角甘い展開になりそうだったのに、何だか違う方向へ話が進んでいるような。

「いやぁ、嬉しいなぁ。南野さんには全てを曝け出せる。ここまで僕のことを知っても引かないなんて、はるみとはるか以外には考えられません。南野さん、これからもよろしくお願いしますね」

 心底嬉しそうに、せとかが満面の笑みを向ける。

 ああもぅ、魔絡みでもいい!
 格好も暮らしっぷりも普通じゃなくても、先輩のためならついていく!
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