結構な腕前で!
「南野さんは? 身体がだるいとか、しんどいとかありますか?」

「えっと。別に何もなさそうです」

 何となく自分の身体に目を落としながら萌実が答えると、横から双子が口々に『凄い凄い』と目を輝かせる。

「南野さんは、僕が力を出すときに、何か感じますか?」

「うええぇぇっ? ええっとぉ、そ、そうですねぇ……」

 先のことを思い出そうとすると、どうしても意識は耳元に行ってしまう。
 感じてました、ヤバい方向に。
 思考がどんどんそっち方面に行きそうになって、萌実は一人で赤くなった。

「あ、でも。先輩が粉砕って言ったときに、手の平が熱くなったような」

「ああ、それは、僕の力を感じたんでしょうね」

 そう言いながら、せとかは、ぱ、と開いた手を萌実の顔の前に突き出した。

「大抵の力は手の平から放出されます。手っていうのは、身体の中でも力の強いところなんですよ。怪我した人の看護を、『手当てする』と言うでしょ。元々は、手から出る力を分け与えるっていう意味なんですよ」

 ほぉ~、と素直に感心し、萌実はせとかの話に聞き入った。

「さっきは僕の力が手から南野さんの手へと伝わって、最終的に南野さんの手から放出されたわけです。僕は力を出すと、体力全部持って行かれるようで、その後は使い物にならないんですけど、おそらくその体力部分を南野さんがストップして、使いたい力のみを出せるよう、ふるいにかけてくれているのでしょう」

「え、私、何も考えてませんでしたけど」

「考えなくても出来るんです。こういうのは感覚なので。まぁ慣れてきたら、自分でもコントロールできるようになると思いますよ」

 例えば、とせとかは萌実の手を掴んで上に向けた。
< 53 / 397 >

この作品をシェア

pagetop