結構な腕前で!
「……」

 せとかと双子も、息を詰めて萌実の手を見ている。
 しん、としばし沈黙が続いた後、そろそろと萌実は視線をせとかに向けてみた。

「……ちょっと時間が経ってしまったからかな」

 せとかが、若干乗り出していた身体を引いて、静かに言った。

「え~、何~?」

「私たち、何も見えない~」

「「二人だけの秘密はずるいわよ~~」」

 双子がきゃんきゃんとせとかに説明を促す。
 萌実は自分の手をまじまじと見た。
 さっき確かに、何かがこの手から出た。

「南野さんには、何かわかりましたか?」

 せとかに言われ、萌実は自信なさげに首を傾げた。

「ん~。何というか、何かが、ぽっと出たような気はしました」

「えっ。力を出したの?」

「もしかして、せとかの力?」

「「力の移行ができるってこと?」」

 なるほど、さっき出たのはせとかの力だったわけだ。
 てことは、折角先輩に貰ったものを、すぐに捨ててしまったってことだよなぁ、残念。

「そういうことじゃないですよ」

 いろいろ考えていた萌実に、いきなりせとかが割って入った。
 えっもしかして、私、思考を口に出してた? とあまりにタイムリーな言葉に焦っていると、せとかは己の手と萌実の手を見比べた。

「南野さんにも、多分外向きの力があると思ったので試したんです。まぁ僕らのような攻撃系ではなく、身に降りかかるものを祓う、守りの力ですけど。さっきは対象がなかったし、初めてだったし僕の引き出す力も持続性がなかったみたいだから、不発でしたけど」
< 55 / 397 >

この作品をシェア

pagetop