結構な腕前で!
それから一時間後。
へろへろになった萌実が、ようやく茶室に辿り着いた。
「せ、せんぱぁ~い……」
どた、と入り口に倒れ込むと、いい香りに包まれる。
「あー……。えっと、南野 萌実さん、でしたっけ」
聞き覚えのある低めの声に顔を上げれば、きっちりと着物を着た先輩が、しゅんしゅんと音を立てる茶釜の前に座っていた。
「ようこそ、茶道部へ。部長の北条 せとかです」
そのまま身体を萌実に向けて、ぺこりと頭を下げる。
「あ、えっと。南野……萌実です」
さっき(といっても一時間前だが)自己紹介したし、やけに親しく名前で呼んでたのにな、と思いつつ、とりあえず萌実も頭を下げた。
ちょっと雰囲気も違う?
あ、着物着てるからかな。
髪も括ってるし……と何となく萌実はせとかを観察した。
「とりあえず、お茶菓子でもどうぞ」
促され、萌実は靴を脱いで部屋に入り、茶菓子の入った皿の前に座った。
「茶道は初めて?」
茶碗に柄杓で湯を入れながら、せとかが聞く。
「はい」
「ふーん。じゃあまぁ今は気にせずに食べて貰っていいから」
どうぞ、と手で菓子を促される。
どうぞ、と言われても、どこに取ればいいんだか。
茶菓子は大きめの器に入っている。
菜箸のようなお箸がついているが、これで食べるわけではないだろう。
そもそもこの器の中身全部が一人分なわけはない。
へろへろになった萌実が、ようやく茶室に辿り着いた。
「せ、せんぱぁ~い……」
どた、と入り口に倒れ込むと、いい香りに包まれる。
「あー……。えっと、南野 萌実さん、でしたっけ」
聞き覚えのある低めの声に顔を上げれば、きっちりと着物を着た先輩が、しゅんしゅんと音を立てる茶釜の前に座っていた。
「ようこそ、茶道部へ。部長の北条 せとかです」
そのまま身体を萌実に向けて、ぺこりと頭を下げる。
「あ、えっと。南野……萌実です」
さっき(といっても一時間前だが)自己紹介したし、やけに親しく名前で呼んでたのにな、と思いつつ、とりあえず萌実も頭を下げた。
ちょっと雰囲気も違う?
あ、着物着てるからかな。
髪も括ってるし……と何となく萌実はせとかを観察した。
「とりあえず、お茶菓子でもどうぞ」
促され、萌実は靴を脱いで部屋に入り、茶菓子の入った皿の前に座った。
「茶道は初めて?」
茶碗に柄杓で湯を入れながら、せとかが聞く。
「はい」
「ふーん。じゃあまぁ今は気にせずに食べて貰っていいから」
どうぞ、と手で菓子を促される。
どうぞ、と言われても、どこに取ればいいんだか。
茶菓子は大きめの器に入っている。
菜箸のようなお箸がついているが、これで食べるわけではないだろう。
そもそもこの器の中身全部が一人分なわけはない。