結構な腕前で!
「そうねぇ。いやでも、せとみは結構はるかを気にしてるわよ。何だかんだで、はるかの言うことは聞くしね。せとみが呼ぶのは、まずはるかよ」

 そこまで全く気付いてなかった。
 まぁ魔と戦っているときは、せとかばかり見てるしな、と思い、萌実は密かに赤くなった。

「ああ、だから今日も、せとか先輩ははるか先輩を誘ったんですか?」

「そう。はるかの言うことは聞くから」

 ということは、せとかも知っているということか。

「で、はるか先輩は? 今日、ちょっと渋ってましたね」

「うん。はるかはどうなんだかな。嫌ってはいないけど、男としてちゃんと見てるかなぁ。私は無理だけど」

「はるみ先輩は、北条先輩たちに興味なしですか」

「ない。だって小さい頃からずーっと一緒だったわけよ? そんなのに恋するなんて、何か損した気分になるわ」

 きっぱり言うはるみに、萌実はちょっとまじまじと彼女を見た。
 こういう現実主義的なところ、せとかと似ている。
 損得勘定が働く、と言えば聞こえは悪いが。

「ただねぇ、向こうにその気があった場合はややこしいわ。ずーっと一緒で、しかも単なる幼馴染じゃない、血の繋がりのあるイトコなわけよ。気まずくなっても、繋がりは切れないわ」

「そうですね……。遠いところにいるならまだしも、橘先輩と北条先輩のところは、学校も一緒で多分家も近いんでしょうし」

「そういうこと。全くせとみも、考えて欲しいものだわ」

 ぶつぶつ言い、はるみは萌実を伴って店を後にした。
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