結構な腕前で!
「……嘘だろ」
「「す、凄い……」」
せとみと双子が、感心したように呟いた。
道場は正面の壁に大穴が開いている。
壁は一面真っ白だ。
おそらく吹き飛ばされた煙が粉々になって飛び散ったのだろう。
「ふぅ」
はた、と気付けば、萌実は背後のせとかにもたれているし、せとかは萌実の肩に顎を乗せた状態だ。
「うわぁっ!!」
慌てて身を起そうとした萌実だが、変に後ろに体重をかけていたせいで、踵がずるっと滑る。
「危な……」
せとかが踏ん張ろうとしたが間に合わず、結局二人して地面に倒れ込んだ。
「ご、ごめんなさい」
転ぶときでもせとかはちゃんと自分が下になってくれる。
萌実が謝罪しつつ起き上がると、せとかも着物を払いながら立ち上がった。
「怪我はありませんか?」
「はい。先輩こそ」
「僕は何ともないですよ」
そう言って、せとかは自分の体調を見るように、少し胸に手を当てた。
「うん、特に何ともない」
「ほんとか? あんなすげー力出しておいて」
ずいっとせとみが身を乗り出す。
どうやら大丈夫か、というのは、単に転んだからではなく、その前の力の影響も含めてのことらしい。
萌実は己の両手をまじまじと見た。
「どうしました?」
そういえば、もうすっかりいつものせとかだ。
一言だけだったが、あの耳元で囁かれた『何も考えるな』は格好良かった、としみじみ思う。
言葉遣いまで変わるなんて、まるで二重人格のようだ。
考えてみれば、せとみも戦うときは柄が悪くなる。
「「す、凄い……」」
せとみと双子が、感心したように呟いた。
道場は正面の壁に大穴が開いている。
壁は一面真っ白だ。
おそらく吹き飛ばされた煙が粉々になって飛び散ったのだろう。
「ふぅ」
はた、と気付けば、萌実は背後のせとかにもたれているし、せとかは萌実の肩に顎を乗せた状態だ。
「うわぁっ!!」
慌てて身を起そうとした萌実だが、変に後ろに体重をかけていたせいで、踵がずるっと滑る。
「危な……」
せとかが踏ん張ろうとしたが間に合わず、結局二人して地面に倒れ込んだ。
「ご、ごめんなさい」
転ぶときでもせとかはちゃんと自分が下になってくれる。
萌実が謝罪しつつ起き上がると、せとかも着物を払いながら立ち上がった。
「怪我はありませんか?」
「はい。先輩こそ」
「僕は何ともないですよ」
そう言って、せとかは自分の体調を見るように、少し胸に手を当てた。
「うん、特に何ともない」
「ほんとか? あんなすげー力出しておいて」
ずいっとせとみが身を乗り出す。
どうやら大丈夫か、というのは、単に転んだからではなく、その前の力の影響も含めてのことらしい。
萌実は己の両手をまじまじと見た。
「どうしました?」
そういえば、もうすっかりいつものせとかだ。
一言だけだったが、あの耳元で囁かれた『何も考えるな』は格好良かった、としみじみ思う。
言葉遣いまで変わるなんて、まるで二重人格のようだ。
考えてみれば、せとみも戦うときは柄が悪くなる。