ある夜の出来事
その人はキョロキョロと辺りを見回していたけど
駅前のコンビニ近くに立っている私に気づき、近づいてきた。
「あの…もしかして…?」
私は黙ったまま、携帯電話を差し出した。
「あ、ありがとうございます!本当、助かりました!」
「……」
ずっと何も言わない私に不安になったようで
「あの…」
と言って私をじっと見てくる。
あーもぅ!
「今、何時か知ってますか?」
「え?えっと…1時前?」
「私、あなたを待ってて電車に乗れなかったんです。
そしてもう家に帰れなくなりました。」
今度は私が彼をじっと見つめる。