初恋のキミは最愛ヒーロー

「莉彩ちゃんが紅月のことを話してるのが、面白くなかったんだろ?男の嫉妬は見苦しいぞ、壱夜」


「だから、嫉妬なんかしてねぇよ。するわけねぇだろ」


強固な否定…。


そりゃそうだよね。


まだ、壱夜くんにヤキモチ妬いてもらうような間柄になってないわけだし。


「でも、壱夜の態度は明らかに……」


「それ以上、口にしたらぶっ飛ばす」


怒りを滲ませた低い声に、神楽くんは危機感を抱いたのか、ぎこちない動きで自分の腕時計に視線を落とした。


「あっ!!俺、用事があるから教室に戻らなくちゃ!それじゃあ、莉彩ちゃん…お先!」


「えっ、神楽くん…!?」


こんな最高に気まずい状況なのに、先に教室に帰っちゃうの!?


引き留める時間ようとしたけれど、あっという間に神楽くんは屋上から出て行ってしまった。


「……………」


「……………」


沈黙する私たち。


空気が重い…。


何か話をして雰囲気を変えなくちゃ…。


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