初恋のキミは最愛ヒーロー
「きょ、今日は小春日和だけど…明日からは急に寒くなるらしいよ!温度差が激しいのは嫌だよね」
「……………」
ダメだ、反応なし。
「壱夜くんって、お昼ご飯…購買のパンを食べてることが多いよね!私、まだ利用したことないんだけど、オススメのパンってある?」
「好みは人それぞれだろ」
反応はあったけど、呆気なく会話が終了。
こういうことは普段からよくあるんだけど、いつもより声の刺々しさが増してる…。
この怖い雰囲気を吹き飛ばすような話題ないかな…。
頭の中で考えを巡らせていると、壱夜くんはスマホを地面に置いた。
「アイツは、やめとけ」
「えっ…」
「あまり関わらない方がいい」
穏やかな天気に不釣り合いな低くて重々しい声。
アイツって、紅月くんのこと……だよね?
「ど、どうして…?」
「紅月が纏う空気は、穏やかじゃないから」
壱夜くんの言葉の意味がよく分からなくて、疑問符を浮かべた。