初恋のキミは最愛ヒーロー

夜の危険な追跡


「わっ、もう…こんな時間だ」


スマホの待受画面に表示された“19:30”の時刻を見た私は、会計を済ませて雑貨店を出た。


バレンタインまで、あと2日と迫った今日。


私は、学校帰りに駅前に来ていた。


お母さんが毎月楽しみに読んでる雑誌を買いに書店に寄るのが目的だったけど、ついでにお菓子の本も色々と見て、良さそうなものを購入。


他にも何軒かお店に立ち寄って買い物をしながら、さっきまで居た雑貨店へ。


買ったのは、バレンタインに関するもの。


手作りのチョコレート菓子の材料やラッピング用品だ。


もちろん、渡す相手は壱夜くん。


本命チョコは間違いなく返却されるだろうけど、友チョコだったら、受け取ってくれるかもしれない…って思ったんだ。


何を作ろうかな…。


壱夜くん、あまり甘いものは食べなさそう。


少しほろ苦い感じがいいかも。


心を弾ませながら、駅の近くにある噴水の前を通り過ぎた時。


フワリと甘い香りが鼻を掠めた。


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