初恋のキミは最愛ヒーロー

“今後…紅月には絶対に近付くな”


うん、近付いちゃダメだよね…。


ここは見なかったことにして、家に帰るのが正解だ。


そう言い聞かせて足を一歩踏み出そうとしたけど、ピタリと動きを止めた。


でも、やっぱり気になる。


明日も学校があるのに一晩中遊ぶだなんて…。


それに……


“俺には、大切なものを奪った悪魔にしか見えないけど”


紅月くんが、そう言っていた理由が何か掴めるかもしれない。


壱夜くん、ごめんなさい。


心の中で謝りながら、私は紅月くんたちを追った。


多くの人が行き交う大通りを暫く進んで、少し細い路地へと入る二人の数メートル後方を歩く。


気付かれないように物陰に隠れながら。


紅月くんたちは全く気付くことなく、道を何度か曲がりながら進む。


気付けば、賑やかな駅前から離れ、街頭も疎らな薄暗い場所へと来ていた。


辺りを見回せば、廃屋や空き地、倉庫などが建ち並んでいる。


人気もなく、不気味で怖い。


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