初恋のキミは最愛ヒーロー
この辺に、ケイタっていう男の子がいるの…?
立ち止まって身震いする私。
まるで、体が危険を警告しているかのよう。
でも、ここまで来たわけだし…。
数メートル先のカーブミラーの手前の角を曲がった紅月くんたち。
見失わないように追いかけようとした時、後ろからガシッと肩を掴まれた。
「こんなところで、女の子が何やってんの~?」
少し掠れたような男の声に、心臓がドクンと嫌な音を立てて鳴り響く。
背中につたう冷や汗。
後ろを振り向くよりも先に、男が私の目の前に移動してきた。
「おっ、なかなか可愛いじゃん!」
つり目で頬がこけた、銀髪の男。
私よりも少し年上のように見える。
「俺、ちょうど暇を持て余してたとこなんだよね。一緒に遊んでよ」
「い、いやです…」
振り絞った声は小さく震えていた。
「え?何?断る選択肢なんて、無いんじゃね?大人しく俺についてくりゃいいんだよ」
男の目が鋭く私を睨む。
言葉も表情も威圧的なものへと変わった。