初恋のキミは最愛ヒーロー
やっぱり、壱夜くんの忠告を守っていれば良かった…なんて、今さら後悔しても遅い。
こうなってしまったのは、自業自得だ。
唇を固く結んでいると、男は私の肩をポンポンと強めに叩く。
「行くぞ」
ニヤリと笑う不気味な顔に背筋が凍りつくのを感じていた、その時。
「おい、そこの銀髪男」
辺りに響きわたった怒鳴るような男の子の声。
呼ばれた本人は、“あ?”と不快な表情を浮かべて私の後ろの方向に視線を向ける。
今の、もしかして…。
聞き覚えのある声にゆっくり振り向くと、黒い厚手のパーカーのフードを深く被った男の子が、こちらに足早に近付いてくる。
その姿に、胸がドクンと鳴った。
「い、壱夜くん…」
呟いた名前は、傍まで来た彼の耳にも届いたらしく、少しだけ私の方を見たけれど、すぐに銀髪の男へと冷たい視線を向けた。