初恋のキミは最愛ヒーロー

「とりあえず、無事で良かった…」


ぶっきらぼうな口調だけど、なんとなく安心したような壱夜くんの表情に胸がジワリと温かくなる。


「ありがとう…。本当にありがとうっ、壱夜くん!」


「何度も同じこと言うな。鬱陶しい」


不機嫌そうに視線を逸らされてしまったけど、私は鼻の奥がツンとするのを感じながら、笑みを零した。


また、助けてもらっちゃった…。


本当に、キミは優しさに満ち溢れたヒーローだね…。


「碧瀬、帰るぞ。また変なヤツに絡まれたら面倒だから家まで送ってく」


「うん…!」


スタスタと歩き出す壱夜くんの隣に並んだ。


「そう言えば、さっきの質問の続き…いい?」


「何だよ」


「い、壱夜くんは…どうしてあの場所に?」


「大通りからそれた裏道をランニングしてたら、数十メートル前方の十字路を右に曲がってく女の後ろ姿を目撃したから気になって追いかけた。この辺、夜は暗くて女一人で歩くヤツは殆どいないから。まさか、お前だとは思わなかったけど」


冷ややかな視線を向けられ、私は苦笑いを浮かべた。


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